埼玉県の大宮と神奈川県の横浜を結ぶ京浜東北線。

横浜駅から先は根岸線に直通し、大船駅までも結び、京浜東北線・根岸線を合わせたその距離は81.3kmにもなります。

長距離を走り、かつ混雑率も高い京浜東北線にグリーン車が欲しいと思う方も多いと思いますが、なぜないのでしょうか?理由などを解説します。

京浜東北線とは?停車駅とは?

E233系1000番台を使用した京浜東北線の快速電車
京浜東北線の快速電車(E233系1000番台)

京浜東北線は埼玉県さいたま市の大宮駅と、神奈川県横浜市の横浜駅までを結ぶ路線系統です。

途中、東京の主要な都市である、上野や秋葉原、品川などを経由しています。

更に横浜駅に乗り入れる全列車が、横浜と大船を関内・根岸経由で結ぶ根岸線に直通します。

京浜東北線と根岸線を合わせたその距離は81.3kmと、比較的長距離の路線です。

ちなみにこの「京浜東北線」という路線名は、実際には正式な路線名ではありません。

大宮〜東京間は東北本線、東京〜横浜間は東海道本線が正式な路線名です。

「京浜」は東海道線の東京~横浜間を結び、東海道線の各駅停車の役割をするため「東京」の「京」と「横浜」の「浜」の字から取り、「東北」は東北本線から取っています。

そのため、東京~横浜間の路線系統だったころは、京浜線とも呼ばれており、そこに東北本線の大宮~東京間がくっついたことから、京浜東北線となった経緯があります。

京浜東北線・根岸線の停車駅

〇:全列車停車 △:土休日のみ停車 レ:通過

駅名よみかた快速各駅停車接続路線
大宮おおみや東北新幹線
(北海道・秋田・山形新幹線)
上越新幹線・北陸新幹線
宇都宮線
高崎線
湘南新宿ライン
上野東京ライン
埼京線
東武野田線(東武アーバンパークライン)
ニューシャトル
さいたま新都心さいたましんとしん宇都宮線
高崎線
上野東京ライン
与野よの
北浦和きたうらわ
浦和うらわ宇都宮線
高崎線
上野東京ライン
湘南新宿ライン
南浦和みなみうらわ武蔵野線
わらび
西川口にしかわぐち
川口かわぐち
赤羽あかばね宇都宮線
高崎線
上野東京ライン
湘南新宿ライン
埼京線
東十条ひがしじゅうじょう
王子おうじ東京メトロ南北線
都電荒川線(東京さくらトラム、王子駅前電停)
上中里かみなかざと
田端たばた山手線
西日暮里にしにっぽり山手線
東京メトロ千代田線
日暮里・舎人ライナー
日暮里にっぽり山手線
常磐線
京成線
日暮里・舎人ライナー
鶯谷うぐいすだに山手線
上野うえの東北新幹線
(北海道・秋田・山形新幹線)
上越新幹線・北陸新幹線
宇都宮線
高崎線
常磐線
上野東京ライン
山手線
東京メトロ銀座線
東京メトロ日比谷線
京成線(京成上野駅)
御徒町おかちまち山手線
東京メトロ銀座線(上野広小路駅)
東京メトロ日比谷線(仲御徒町駅)
都営地下鉄大江戸線(上野御徒町駅)
秋葉原あきはばら山手線
総武線(各駅停車)
つくばエクスプレス
東京メトロ日比谷線
都営地下鉄新宿線(岩本町駅)
神田かんだ山手線
中央線(快速電車)
東京メトロ銀座線
東京とうきょう東海道新幹線
東北新幹線
(北海道・秋田・山形新幹線)
上越新幹線・北陸新幹線
宇都宮線
高崎線
東海道線
上野東京ライン
山手線
横須賀線
総武快速線
中央線(快速電車)
京葉線(武蔵野線)
東京メトロ丸ノ内線
有楽町ゆうらくちょう山手線
東京メトロ有楽町線
東京メトロ日比谷線(日比谷駅)
東京メトロ千代田線(日比谷駅)
都営地下鉄三田線(日比谷駅)
新橋しんばし山手線
東海道線
上野東京ライン
横須賀線
東京メトロ銀座線
都営地下鉄浅草線
ゆりかもめ
浜松町はままつちょう山手線
東京モノレール羽田空港線(モノレール浜松町駅)
都営地下鉄大江戸線(大門駅)
都営地下鉄浅草線(大門駅)
田町たまち山手線
都営地下鉄三田線(三田駅)
都営地下鉄浅草線(三田駅)
高輪ゲートウェイたかなわゲートウェイ山手線
都営地下鉄浅草線(泉岳寺駅)
京急線(泉岳寺駅)
品川しながわ東海道新幹線
山手線
東海道線
上野東京ライン
横須賀線
京急線
大井町おおいまち東急大井町線
りんかい線
大森おおもり
蒲田かまた東急池上線
東急多摩川線
川崎かわさき東海道線
上野東京ライン
南武線
京急線(京急川崎駅)
鶴見つるみ鶴見線
京急線(京急鶴見駅)
新子安しんこやす(付近に京急線京急新子安駅があるが、乗り換え駅として使うには不便)
東神奈川ひがしかながわ横浜線(一部横浜方面直通)
京急線(京急東神奈川駅)
横浜よこはま東海道線
上野東京ライン
湘南新宿ライン
横須賀線
京急線
東急東横線
相鉄線
みなとみらい線
横浜市営地下鉄ブルーライン
桜木町さくらぎちょう横浜市営地下鉄ブルーライン
YOKOHAMA AIR CABIN
(京急線日ノ出町駅)
関内かんない横浜市営地下鉄ブルーライン
石川町いしかわちょう(副駅名:元町・中華街)
山手やまて
根岸ねぎし
磯子いそご
新杉田しんすぎたシーサイドライン
京急線(杉田駅)
洋光台ようこうだい
港南台こうなんだい
本郷台ほんごうだい
大船おおふな東海道線
上野東京ライン
湘南新宿ライン
横須賀線
湘南モノレール

なぜ京浜東北線にはグリーン車がない?

E233系1000番台を使用した京浜東北線の電車
京浜東北線の電車

そんな京浜東北線ですが、その走る区間である大宮~大船間のほぼ全線が、上野東京ライン宇都宮線・高崎線・東海道線系統と並行しており、京浜東北線は上野東京ラインが通過する各駅に停車します。

しかし、その割には埼玉から東京・神奈川方面までの長距離利用も多いそうです。

実際、上野東京ラインが停車しない駅のうち、与野、北浦和、南浦和~川口間、東十条〜上中里間、大井町~蒲田間、鶴見~東神奈川間の各駅については、京浜東北線しか停車しない駅です。

また、根岸線の桜木町~本郷台間も根岸線単独の駅です。

なので京浜東北線を使って、赤羽や上野、東京、品川、川崎、横浜など上野東京ラインの駅に行かざるを得ません。

つまり、長距離利用が多いのは、上野東京ラインの通過する駅からの利用者が多いことになります。

ということは「こんな長距離を走るならグリーン車が必要だ!」

そう思った方もいらっしゃると思います。

しかし、現時点では京浜東北線を運営しているJR東日本からはグリーン車の導入計画は発表されませんし、そもそも導入計画すら噂に聞きません。

なぜなのでしょうか?

① 京浜東北線が上野東京ラインの各駅停車的役割を果たしているため

E233系1000番台を使用した京浜東北線の快速電車
京浜東北線の快速電車

まず、1つ目の理由としては、京浜東北線は各駅停車の路線であるため、短距離利用が多くとても混雑しているからです。

京浜東北線は各駅にどんどん停車していき、利用客の入れ替わりが激しいです。

また、各駅停車の路線ということで駅間も短く、長距離列車の上野東京ラインや横須賀線とは違って高速運転をすることはできません。

短距離利用客が多いという根拠の1つに、京浜東北線が現在使用している車両にも関係しています。

現在、京浜東北線で使われている車両は通勤型の仕様です。

通勤型電車を使用している…ということは短距離の利用客が多い通勤路線で、通勤時にはとても混雑する、ということです。

実際京浜東北線は2019年時点で大井町~品川間で185%、川口~赤羽間で170%ものの混雑率です。

そして、上野東京ラインが開業する前は上野~御徒町間で200%近い混雑率を記録する激しい混雑でした。

この混雑に対応するため一時期は通常の電車で片側4枚のドアがついているところ、片側6枚に増やした6ドア車が編成中央部の6号車に連結されていたほどで、

この事態を重く見た国土交通省から、早急に東北縦貫線、つまり現在の上野東京ラインを作るように提案されたほどです。

② 短距離利用が多いとグリーン車の利用が低迷してしまうこと

横須賀線・総武快速線のE235系1000番台に連結されているグリーン車
横須賀線・総武快速線のグリーン車(E235系1000番台)

2つ目の理由は、短距離利用ではグリーン車の利用が低迷してしまうことです。

冒頭で述べた通り、グリーン車が連結された列車が現在走っている路線は、東海道線、宇都宮線、高崎線、湘南新宿ライン、上野東京ライン、横須賀線・総武快速線、常磐線です。

例えば上野東京ラインの宇都宮線・高崎線・東海道線系統では宇都宮や高崎、両毛線の前橋などから東京を経由し熱海や伊東線の伊東まで行く運用、更には熱海からJR東海区間に直通し丹那トンネルを超え、沼津まで行く200km超えの運用が多々あります。

これらの路線は郊外に路線網を持っていて、大都市では主要駅のみに停車することが多いため、当然駅間が長いです。

駅間が長いと乗降に時間がかかりませんが、各駅に停車する京浜東北線でグリーン車を連結してしまうと乗降に時間がかかり、更にグリーン車は扉数が片側2枚という事で、遅延を引き起こしてしまう恐れがあります。

実際グリーン車の車両が導入されている常磐線でも、混雑が激しいことから近距離を走る品川・上野~取手間、および成田線直通列車の運用に就く列車は、グリーン車を連結しない車両での運用となっています。

常磐線(上野~取手間)および成田線(我孫子~成田間)で使用されるE231系0番台
常磐線(上野~取手間)および成田線(我孫子~成田間)で使用される車両(E231系0番台)

③ 上野東京ライン・湘南新宿ラインのグリーン車でカバーできること

上野東京ライン・湘南新宿ラインの列車で使われる車両、E233系3000番台
上野東京ライン・湘南新宿ラインの列車で使われる車両(E233系3000番台)

3つ目の理由は、大宮~大船までの区間は、上野東京ラインや湘南新宿ラインのグリーン車でカバーできてしまうことです。

これは京浜東北線にグリーン車が設置されない、最大の理由と言っていいかもしれません。

先述したとおり京浜東北線は大宮〜横浜間で、上野東京ラインと並行した形で走っています。

この区間は3つのルートがあります

・上野や東京を経由する最速の上野東京ライン

・副都心の新宿や渋谷を経由する湘南新宿ライン

・各駅停車の京浜東北線

の3つです。

実際、京浜東北線の全区間を通しで乗る人は皆無に等しいです。

恐らく、東京方面から大宮・横浜方面へ急いで行きたい人は、最速でグリーン車の設置してある上野東京ラインを使う人が多いと思われます。

京急線の車両、新1000形1209編成と1025編成
京急線の車両(新1000形)

また、東京〜横浜・大船間は上野東京ラインよりも少し遠回りになる、横須賀線・総武快速線のグリーン車もあるので、そちらを使う人もいますし、品川からは私鉄である京急の快特を使って横浜へ移動する人もいます。

京急線の快特は運賃のみで進行方向前側を向いて着席できる車両に乗車できる機会もあり、一部の列車では別途数百円払えばウィング・シートと呼ばれる、着席保証を得ることもできます。

これらの中・長距離列車のグリーン車などで、何とかなってしまうことが多いため、主に近距離の利用客が多い各駅停車の京浜東北線には、グリーン車を付ける必要がないという事情もあります。

京浜東北線に将来グリーン車が導入される確率は?

E233系1000番台を使用した京浜東北線の電車
京浜東北線の電車

さて、将来的にグリーン車が連結されるかどうかというと、その可能性は皆無に等しいと思います。

京浜東北線の列車は田端~浜松町間で日中時間帯は快速運転を行っていますが、それ以外の区間ではほぼほぼ各駅停車で朝・夕の時間帯は全線で各駅停車の運転です。

また、民営化前は埼玉~神奈川の移動が京浜東北線だけしかなかったのですが、国鉄が分割民営化し、JR東日本になってからは、2001年の湘南新宿ライン開業、2015年の上野東京ライン開業など、大宮~横浜間の移動手段が京浜東北線だけではなくなった現実もあります。

そのため、JR東日本からしても今更グリーン車を付ける必要はないと考えているものだと思われます。

かつて京浜東北線にグリーン車が連結されていた?

E233系1000番台を使用した京浜東北線の電車
京浜東北線の電車

そんな京浜東北線ですが、実はかつてグリーン車が設置されていました。

「あれ?京浜東北線には元々グリーン車がないのでは?」

と思った方もいると思います。

これはJRや国鉄の時代よりも前の大昔の話です。

1914年から1938年までの戦前の期間ではありますが、京浜東北線の前身である京浜線には、今のグリーン車の前身ともいえる二等車が連結されていました。

なぜ、短距離なのに連結されたのかというと、この京浜線は当時のJR、日本国有鉄道、鉄道省の前身である、内閣鉄道員が運営する鉄道路線では、最も長い電車編成の列車であったためです。

しかし1931年の満州事変を機に、第二次世界大戦の予兆が始まっています。

第二次世界大戦は正式には1939年から起こったとされていますが、その前の1937年には日中戦争が勃発しています。

日中戦争の局面悪化などにより、鉄道を軍事利用することになってしまったことが影響したのか、1938年に京浜線の二等車は消滅。

そして終戦後はまったく設定されていません。

まとめ

ここまで解説したことを簡単にまとめます。

  • 京浜東北線・根岸線の概要について
  • 京浜東北線にグリーン車がない理由
  • 過去に京浜東北線にグリーン車があったことや、今後導入される可能性があるのかについて

以上のことがわかったのではないかと思います。

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