新宿を中心とする東京と埼玉を結ぶ通勤路線「埼京線」。東北新幹線と並走していることでも有名です。そんな埼京線では通勤ラッシュが激しく「普通列車グリーン車が欲しい」と思っている方もいるかもしれません。

そんな埼京線になぜグリーン車がないのか?一体なぜなのか?解説していきたいと思います。

埼京線は直通運転先の問題があるため

埼京線E233系イメージ

埼京線は埼玉県の大宮と東京都大崎を結ぶ路線です。しかしながら、埼京線完結で運転される列車もあれば、りんかい線・川越線へ直通する列車もあります。

それぞれの問題点を見ていきましょう。

りんかい線の問題点

りんかい線(東京臨海高速鉄道)の問題点を考察してみました。

りんかい線で使用されている車両「70-000形電車」はJR東日本209系をベースに設計されており、今後導入されるりんかい線新型車両についても、JR埼京線のE233系をベースに設計される予定です。

これは「埼京線」と「りんかい線」で車両性能などを合わせていることになります。

もし、グリーン車を付けるとすればりんかい線にもグリーン車を連結しなくてはなりません。

しかし、りんかい線内は地下トンネルで勾配が連続するため、グリーン車を連結すれば今のダイヤが維持できない可能性があります。

また、導入コストもりんかい線が負担しなくてはならないため、実現はほぼ不可能でしょう。JR東日本だけグリーン車を導入したとしても、グリーン車がない車両も混在していると乗客が混乱するためこれも難しいでしょう。

だったら、大崎折り返しにすればいいという話もあるかもしれませんが、ダイヤ乱れ時に遅れの回復が大変になってしまう可能性があります。

川越線の直通運転

埼京線はりんかい線だけでなく、川越線にも直通することになっています。川越線へ直通するほとんどの列車は「快速」として運転されます。

川越線と直通運転していることも例として挙げられます。

川越線は単線区間で、ダイヤ乱れ時に遅れの回復が必要となります。その時に、りんかい線だけ10両編成グリーン車なしになった場合に混乱が生じます。また、通勤ラッシュ時には更なる混雑を招き遅延が増大するでしょう。

このことから、実現はほぼ不可能になる可能性が高いです。

10両編成が限界 埼京線・りんかい線・川越線共通の問題点

そもそも、グリーン車が連結されている路線ではどのような対策が取られていたのか・どのような路線に導入されていたのかを考え、そこから問題点を洗い出していきます。

グリーン車導入の条件 その1 「路線の長さが100km以上であること」 50km以上の料金で多くの人に使ってもらうこと

グリーン車導入の条件として「路線の長さが100km以上であること」が求められます。

これは宇都宮線・高崎線・東海道線・横須賀総武快速線・常磐線でこの条件を満たしています。

いずれの路線も100kmを超える中距離電車であることが分かります。

一方で埼京線はどうでしょうか?路線長は川越線を含めても53km(営業キロ)しかありません。つまり、多くの乗客がホリデー料金580円、平日780円区間しか乗らないことになります。これはJR東日本としても対費用効果が悪いでしょう。1時間程度ならグリーン車は利用しないという人も多そうですね。

まず、JR東日本がグリーン車を導入する条件の一つ目を満たしていないことが分かりました。

グリーン車導入の条件 その2「15両編成対応であること」

グリーン車を連結するにあたり、普通車の混雑に配慮する必要があります。グリーン車導入が行われたのは2004年秋で、その前に2001年に宇都宮線などで15両編成に対応する工事を実施していました。

通勤ラッシュ時に10両編成を入れると「問題児」扱いされるほど、その混雑はひどく、JR東日本でも通勤ラッシュ時には15両編成で運転するように対策しています。

埼京線はホーム延伸工事などを行ったとしても川越線などでは実施は困難です。そうするとダイヤ乱れ時に混乱が生じたり、車両運用に問題が生じるため、埼京線へのグリーン車投入は困難となるでしょう。

グリーン車を連結すると現在のダイヤが崩壊 通勤地獄が激化する

最後に本末転倒な話をすると、グリーン車を連結を連結するとダイヤが崩壊し、混雑が激化してしまいます。

理由は先ほど挙げた通り、通勤ラッシュ混雑激化に伴い、積み残しが発生。ダイヤが崩壊し時間通りに列車が来なくなる事態が発生するでしょう。また、グリーン車には動力車がついていないため、車両性能が落ちるのでさらに遅延が増大します。

ここまでして、JR東日本がグリーン車を導入するとは到底考えられません。沿線・利用客からも反発の声が上がるでしょう。さらに埼京線については女性専用車両も連結されているので、なおさらではないでしょうか?

以上のことが埼京線グリーン車が導入されない理由となります。今後もグリーン車連結はなく、10両編成での運転となるでしょう。

まとめ

  • 埼京線にはグリーン車が連結されていない
  • 10両編成の埼京線ではグリーン車連結で混雑が激化する可能性がある
  • 10両編成グリーン車でダイヤが崩壊し、通勤ラッシュ時に大幅遅延が多発するだろう
  • グリーン車を導入するための15両編成対応がほぼ不可能
  • 直通先との車両が違うため、乗客に混乱を招く可能性がある
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