今回はJR北海道釧網本線(釧網線)で運行されている「快速しれとこ摩周号」に乗車してきましたので、運行区間・ダイヤ・料金・鉄道からの絶景・沿線情報についてまとめています。

釧網本線「快速しれとこ摩周号」とは?使用車両は?

快速しれとこ摩周号
編集部撮影

釧網本線「快速しれとこ摩周号」はJR北海道の釧網本線網走~釧路までを走行する列車です。網走~釧路までは特急列車が走っていない区間のため、この快速しれとこ摩周号が定期列車としては唯一の優等列車ということになります。

運行本数は網走発・釧路発で1本ずつのみの運転となっていて、上下合わせて2本しか走っていないということになります。

釧網本線自体がローカル線で本数が少ないため、起床事故による寝坊などには注意が必要です。

所要時間は全区間乗り通すと網走発でおよそ3時間10分となる長距離列車となっています。長時間乗車と感じる方もいるかと思いますが、この列車が走行する釧網本線では、雄大な自然・美しい景色を感じることができ、退屈させない列車となっています。

使用車両はキハ54形1両編成での運転となっています。ワンマン運転で車掌さんは乗務していません。繁忙期などは2両編成に増結されて運転される日があります。

快速しれとこ摩周号の停車駅・時刻表(網走発)

駅名時刻
網走10時24分発
桂台10時27分発
鱒浦10時33分発
藻琴10時37分発
北浜10時40分発
原生花園臨時駅:営業時のみ停車 例年5月1日~10月31日まで営業
浜小清水10時50分発
止別10時57分発
知床斜里11時11分発
中斜里11時17分発
清里町11時25分発
札弦11時33分発
11時42分発
川湯温泉12時00分発
美留和12時08分発
摩周12時17分発
磯分内12時30分発
標茶12時41分発
茅沼12時54分発
塘路13時03分発
釧路湿原13時14分発
遠矢13時21分発
東釧路13時28分着、13時32分発 根室本線根室行きに接続
釧路13時36分着

運転日は毎日運転です。ダイヤは2021年10月のものです。

快速しれとこ摩周号の停車駅・時刻表(釧路発)

駅名時刻
網走8時57分発
東釧路9時01分発
遠矢9時08分発
釧路湿原9時16分発
塘路9時27分発
茅沼9時34分発
標茶9時47分発
磯分内9時57分発
摩周10時11分発
美留和10時20分発
川湯温泉10時28分発
10時43分発
札弦10時51分発
清里町10時59分発
中斜里11時06分発
知床斜里11時12分発
止別11時22分発
浜小清水11時28分発
原生花園臨時駅:営業時のみ停車 例年5月1日~10月31日まで営業
北浜11時38分発
藻琴11時41分発
鱒浦11時44分発
桂台11時50分発
網走11時53分着

運転日は毎日運転です。

ダイヤは2021年10月からのものです。

快速しれとこ摩周号の料金・指定席券・自由席は?

快速しれとこ摩周号に乗車するためには乗車券などが必要です。青春18きっぷでの乗車もできます。

指定席(520円)は網走発釧路行きで一時期設定(2018年9月1日㈯~10月31日㈬)されていましたが、現在は、全車両が自由席となっています。

料金は釧路~網走まで乗り通すと、普通乗車券で4070円かかります。

快速しれとこ摩周号乗車記 景色・車窓を紹介

網走駅の看板はなぜ縦書きなのか?

網走駅 縦書き看板
編集部撮影

今回は網走発の10時10分頃に網走駅に到着。通常ホテルのチェックアウトは10時頃となっているため、チェックアウトギリギリまでゆっくりして乗車できるのがいいところです。

こちらが網走駅に看板が設置されていますが、これは網走刑務所の刑期を終えた受刑者が列車に乗って故郷などに戻る際に、「横道にそれることなく、まっすぐに歩いて生きていってほしい」という願いから、縦書きの看板が設置されています。

網走駅の近くには網走監獄(旧網走刑務所などの建物がある博物館)があり、そちらに縦書きの意味が掲載されていました。ここでは解説しませんが、網走監獄の囚人によって建設されたといっても過言ではない網走~旭川間に建設された北見道路(現在の国道39号線)の建設の歴史など、特急オホーツクで網走に来るときは思いを馳せてみてもいいでしょう。

快速しれとこ摩周号は網走駅3番線から発車

釧路駅ホーム3番線・2番線
編集部撮影

快速しれとこ摩周号の発車は橋を渡って向かい側の3番線から発車。エレベーターなどはないため、スーツケースを持っている人は時間に余裕をもってホームに到着するようにしよう。

約15分前に網走駅に到着していたがすでに列車が到着していました。

快速しれとこ摩周号のヘッドマーク

快速しれとこ摩周号のヘッドマーク
編集部撮影

こちらは快速しれとこ摩周号のヘッドマークです。釧路湿原・摩周湖・斜里岳などが描かれています。

快速しれとこ摩周号自由席の車内・扇風機・混雑

快速しれとこ摩周号車内・混雑
編集部撮影

こちらは快速しれとこ摩周号の車内の様子です。使用されているキハ54形気動車は冷房の設備がついておらず、扇風機のみ設置されています。そのため、この列車では窓を開けることが日常となっています。

乗車約10分前の車内の様子ですが、左側の進行方向向きの座席が埋まっていることが分かります。これは網走駅発車後に見えるオホーツク海が進行方向左側に見える関係で、知ってる方はそちらに座っていたようでした。

発車直前になると閑散期にも関わらず座席は1人2席利用する形で埋まっており、中には車両の前方に設置されているロングシートに座る人もいました。網走駅には20分くらい前には着いていてもいいかもしれませんね。

快速しれとこ摩周号の絶景

快速しれとこ摩周号から見えるオホーツク海の車窓

快速しれとこ摩周号車窓 オホーツク海
編集部撮影
しれとこ摩周号 オホーツク海車窓
編集部撮影

快速しれとこ摩周号の進行方向逆側からオホーツク海を撮影しました。桂台駅を発車してしばらくすると望める景色で、知床斜里までの区間で約45分間楽しむことができます。

鉄道ファン必見 藻琴駅では網走行きのサボなどが展示

藻琴駅 網走行きサボ
編集部撮影

途中の藻琴駅では、かつて釧網本線で使用されていたサボが展示されていました。進行方向右側から見ることができます。

京阪と同じ駅名 北浜駅

釧網本線北浜駅
編集部撮影

北浜と聞いて京阪本線淀屋橋駅の次の停車駅を思い出す方もいるかもしれません。実はこの釧網本線にも北浜という駅が存在します。大阪の方はちょっとびっくりするかもしれませんね。

鉄道ファンなら一枚記念写真を撮りたいところです。

快速しれとこ摩周号の沿線情報

濤沸湖・原生花園を望む (浜小清水~北浜間)

釧網本線 原生花園・濤沸湖(とうふつこ 車窓
編集部撮影

北浜駅を出発すると原生花園と濤沸湖(とうふつこ)が望むことができます。景色が見えるのは海側とは反対の進行方向右側から見ることができます。

濤沸湖とは約900haある汽水湖で、2005年にラムサール条約に登録された湖です。かつては海でしたが砂などが堆積したことによって湖を形成しています。北海道ではサロマ湖などがそれにあたります。

多くの野鳥が飛来しており、運が良ければ車窓から見ることができるでしょう。

また、北浜~浜小清水間には臨時駅「原生花園駅」があり、例年5月1日~10月31日まで営業となっていますが、2021年は10月23日より通過となっているなど、若干年によって異なります。

途中の知床斜里で反対方面からの快速しれとこ摩周号と行き違い

釧網本線 知床斜里 行き違い
編集部撮影

知床国定公園への玄関口、知床斜里駅に到着。網走から乗ってきた方の半分くらいは知床斜里駅で下車していきました。この駅で網走発と釧路発の快速しれとこ摩周号のすれ違いを行います。

かつては根北線がこの駅から分岐していましたが1970年に廃止されています。

この駅から先、線路を右側に曲がり、オホーツク海沿いから釧路湿原へ進路を変えていきます。

清里町駅を発車後 日本百名山斜里岳を望む

釧網本線 斜里岳全景
編集部撮影

清里町を発車すると、知床斜里まではオホーツク海が見えていましたが、内陸に入り、斜里岳が見えてきました。標高は1547mです。この時は天気が悪く頂上には雲がかかってしまっていましたが、天気が良ければ斜里岳がはっきり車窓から見ることが出来るでしょう。

途中の川湯温泉駅に到着 ここから摩周湖見学も

釧網本線 川湯温泉
編集部撮影

途中の川湯温泉に到着です。この駅は摩周湖見学への最寄駅で、かつて快速しれとこ摩周号に指定席が設置されていたころは「摩周レストランバス」というものが運行されており、1便・2便が設定され、摩周湖展望台等の観光も行うことが出来ました。

現在は阿寒バスが運転している摩周線のみ摩周駅から運行されていますが、2021年11月現在運転本数は1日1本となっており、快速しれとこ摩周号には接続しないダイヤとなっていることから、摩周湖へはタクシーまたはレンタカーとなります。

廃駅になった無人駅も 棒線化された駅も

南弟子屈駅 棒線
編集部撮影

記憶が定かではありませんが、南弟子屈駅だったと思います。釧網本線にはいくつか廃止された駅があり、廃止された駅で交換設備がある駅であれば、棒線化された時の名残で、不自然に線路が曲がっているところがあります。石北本線でもありますので、興味があればグーグルマップとかで見てみると面白いかと思います。

標茶駅

釧網本線標茶駅
編集部撮影

釧網本線の中でもかつて交通の要衝だった標茶駅に到着です。古くは硫黄山からの硫黄採掘で栄えた町、戦後は富山県と長野県の満蒙開拓団の引揚者が多く移住した町です。この駅からかつて標津線が分岐していたほか、標茶町営軌道という路線も存在していました。

その名残で、構内は広くかつて副本線があったことが分かります。この駅には3番線がありますが、今は定期列車では使われていないということです。

釧路湿原の中を走行 絶景区間が連続する

釧網本線 釧路湿原車窓
編集部撮影

標茶駅を出発し、しばらくすると列車は釧路湿原内を走行していきます。車窓両側に釧路湿原と釧路川・湖を楽しむことが出来ます。

この区間を走行している時間が最も釧網本線の中で、景色を飽きさせない区間と言っても過言ではありません。

網走発だと進行方向右側に見えてきます。

釧網本線 釧路湿原 シラルトロ沼(湖) 車窓
編集部撮影

こちらは進行方向右側の車窓です。茅沼駅を出発して見えるのはシラルトロ湖です。湖を見ながら大きく左側にカーブしているのが分かります。

この湖に見えるのはシラルトロ沼と呼ばれており、元々この地域は海でしたが、海が後退したことによってできた湖(海跡湖)です。

釧路川が釧網本線と並行して流れる

釧網本線 釧路湿原・釧路川 車窓
編集部撮影

標茶駅を出てからしばらくの区間は釧路川が進行方向右側を並行して流れます。そのため、時折森の切れ間から蛇行して流れる釧路川を望むことが出来ます。

車窓から見える緑に癒されることでしょう。

釧路湿原を抜けると東釧路駅に到着 根室本線(花咲線)根室行きに接続

釧網本線 東釧路駅
編集部撮影

釧路湿原を抜けて約15分。東釧路駅に到着です。釧網本線はこの東釧路まで。東釧路~釧路間は根室本線に乗り入れます。駅舎の左側には釧網本線の起点を示す「ゼロキロポスト」が設置されています。また、列車から見える景色ですが、いかにも駅に出た時の様な景色が広がっているのが印象的です。線路と駅舎の間は庭の様な空間が広がっています。

東釧路駅の看板はかなり古いものが使用されており、釧網本線の青い看板が駅舎に多く使用されているのが、印象的です。

東釧路駅 根室本線・根室行き接続
編集部撮影

東釧路駅では約5分間停車。この駅で釧路方面からの根室本線(花咲線)普通列車根室行きに接続します。そのため、釧路に向かわずにこのまま根室方面に向かうこともできます。

信号が変わると列車は終点の釧路駅に到着します。

終点の釧路駅に到着 釧路から特急おおぞらに乗り継ぎも可能

根室本線 釧路駅
編集部撮影

終点の釧路駅に到着しました。釧路駅は民衆駅としては道内に現存する最後の駅舎となっています。

釧路駅からは根室本線特急おおぞら8号(13時42分発)に乗り継ぐことができ、快速しれとこ摩周号に乗車した後、帯広・札幌方面へ移動することも可能です。

ここで快速しれとこ摩周号の旅は終了です。

まとめ

ここまでの快速しれとこ摩周号についての情報をまとめると

  • 釧網本線を走行する快速列車
  • 網走・釧路方面それぞれ1本ずつ運転される
  • 所要時間は約3時間10分
  • 料金は普通運賃で4070円(特急料金等は不要)
  • 景色のいい方向の座席はおおむね発車時間10分前には埋まっていることがあるので注意。
  • 快速しれとこ摩周号に使用されるキハ54形は非冷房・扇風機付き
  • 網走~知床斜里間はオホーツク海の車窓が楽しめる
  • 知床斜里~標茶間は斜里岳を見ることが出来る
  • 標茶~遠矢間は釧路湿原の中を走行。釧網本線でも最も景色のいい区間を走行
  • 東釧路駅では根室本線根室行きに接続
  • 釧路駅では特急おおぞら8号に連絡
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