今回は、名古屋地区の中央線快速列車について紹介します。
名古屋地区の中央線とは?停車駅は?
名古屋近郊で中央線と主に言われる区間は、東京から新宿、長野県の塩尻などを経由して名古屋へ至る、389.9kmもの区間がある中央本線のうち、名古屋都市圏である名古屋~中津川間の79.9kmの区間のことを指すことが多いです。
中央線は、名古屋や金山、大曽根などの名古屋市の主要駅を縦貫したあと、名古屋のベッドタウンでもある、春日井、高蔵寺、多治見などの地域の足として活用されています。
このため名古屋都市圏において地下鉄のような役割も果たしながら、郊外を結ぶ路線として活躍しており、東京地区の中央線(東京~高尾・大月間)と性格は似ています。
これゆえに東京地区同様、多くの利用者がいることに加えて、名古屋地区の中央線では名鉄線などの平行路線が存在しないことも相まって、ラッシュ時間帯を中心に多くの利用客がいます。
そのため名古屋~高蔵寺間を中心に列車本数も多く、また2022年3月のダイヤ改正ですべての列車が8両編成になりました。
名古屋地区の中央線には普通、快速とホームライナーがあるほか、名古屋と長野を結ぶ特急「しなの」号もこの路線を経由します。
中央線の停車駅(名古屋~中津川)
〇:全列車停車 △:一部列車停車 レ:通過 空欄:経由しない
駅名 | よみかた | 普通 | 区間快速 | 快速 | ホームライナー | 特急「しなの」 | 接続路線 |
名古屋 | なごや | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 東海道新幹線 東海道線 関西線 地下鉄東山線 地下鉄桜通線 名鉄線(名鉄名古屋駅) 近鉄名古屋線(近鉄名古屋駅) |
金山 | かなやま | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 東海道線 名鉄線 地下鉄名城線 地下鉄名港線 |
鶴舞 | つるまい | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | レ | 地下鉄鶴舞線 |
千種 | ちくさ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 地下鉄東山線 |
大曽根 | おおぞね | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | レ | 名鉄瀬戸線 地下鉄名城線 ゆとりーとライン |
新守山 | しんもりやま | 〇 | 〇 | レ | レ | レ | |
勝川 | かちがわ | 〇 | 〇 | 〇 | レ | レ | 城北線 |
春日井 | かすがい | 〇 | 〇 | 〇 | レ | レ | |
神領 | じんりょう | 〇 | 〇 | レ | レ | レ | |
高蔵寺 | こうぞうじ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | レ | 愛知環状鉄道線 |
定光寺 | じょうこうじ | 〇 | レ | レ | レ | レ | |
古虎渓 | ここけい | 〇 | レ | レ | レ | レ | |
多治見 | たじみ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 太多線 |
土岐市 | ときし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | レ | |
瑞浪 | みずなみ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | レ | |
釜戸 | かまど | 〇 | 〇 | 〇 | レ | ||
武並 | たけなみ | 〇 | 〇 | 〇 | レ | ||
恵那 | えな | 〇 | 〇 | 〇 | レ | 明知鉄道明知線 | |
美濃坂本 | みのさかもと | 〇 | 〇 | 〇 | レ | ||
中津川 | なかつがわ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 中央線(木曽福島・塩尻方面) |
中央線快速列車の停車駅が多い理由は?
ではここで、名古屋の中央線快速列車についてみていきましょう。
中央線の快速は主に名古屋から瑞浪、または中津川間を結んでおり、名古屋近郊の中央線のほぼ全区間で運行されています。
先程の表を見ていただいた通り、中央線の快速の停車駅は、名古屋を出ると大曽根までの各駅に止まったあと、勝川、春日井、高蔵寺、多治見と止まり、多治見から中津川までは各駅に止まります。
その中で通過する駅は新守山、神領、定光寺、古虎渓のみです。(2024/3ダイヤ改正より誕生する区間快速は新守山と神領に停車をし、定光寺と古虎渓のみ通過となります)
この中で定光寺と古虎渓に関しては、乗降人員が1日数百人と極端に少なく、秘境駅扱いされてもおかしくない駅です。
ということで、実質的な通過する駅は新守山と神領の2駅だけと言っても過言ではありません。
ではなぜ、通過駅が少ない分停車駅が多いのでしょうか?
実は現在の中央線快速列車の行き先は、全て瑞浪行きか中津川行きです。
一方の日中時間帯の普通列車は高蔵寺行きか多治見行きが殆どとなっています。
ではなぜこうなっているのかというと、遠距離客と近距離客を分離する、いわゆる遠近分離が行われていることが関連してくると考えられるためです。
先述した通り、中央線の快速は末端区間の多治見~中津川間は各駅に停車しています。
ということは中央線の普通列車の利用客は、市街地が広がる高蔵寺までの利用が多いことなど、比較的名古屋に近い地域からの利用が多いため、高蔵寺、多治見までの運転となっていると思われます。
これは、JRの在来線や私鉄各社でもよくあることなので、別に珍しいということではありません。
また、多治見と中津川は特急「しなの」号の停車駅でもあるため、追加料金を払えばそちらを使い快適に、速く移動する事ができます。
ただし、中央線内で追加料金不要の快速列車に普通列車が抜かれることは滅多にないため、これはちょっと説明不足かもしれませんね。
そして、先述したとおり多治見駅までの区間のうち、快速が停車しない駅は新守山、神領、定光寺、古虎渓の4駅です。
このうち神領、新守山は名古屋近郊ということもあり一定の乗降客がいますが、定光寺、古虎渓の利用客はかなり少ないです。
また、高蔵寺までは日中時間帯でも普通列車は5本確保されているため、ある程度乗降客はいるが、
そこまで利用客のいない新守山・神領に停車する列車は、5本もあればある列車本数も程度確保されていて良いのでしょう。
乗降客数が少ない駅にわざわざ停めるよりは、利用客の少ない駅を通過運転し、多治見・中津川方面の利用者に向けて、快速運転をすることで所要時間の短縮を図ることができます。
普通列車では1時間20分ほどかかってしまう名古屋〜中津川間ですが、快速の場合、5分短縮の1時間15分ほどで行くことができます。(2024/3ダイヤ改正前まで)
この5分早く運ぶというのが快速列車の設定理由だと思いますが、各駅停車の区間が多い故か普通列車と所要時間はほとんど変わりません。
各駅停車の区間が多い理由
各駅停車の区間はそれぞれ、理由があって各駅停車としています。
多治見~中津川間が各駅停車な理由は単純で、この区間は日中時間帯、快速列車しか走らないほど本数が極端に減るからです。
もうひとつ、名古屋〜大曽根間も各駅停車ですが、この区間が各駅停車な理由はちょっと深掘りします。
この区間が各駅に止まる理由についてですが、乗り換え路線が多い上に、東京の山手線や大阪の大阪環状線、そして各地の地下鉄などのように、短距離利用が多いからです。
そして、名古屋~大曽根間はすべての駅でほかの路線と乗り換えが可能です。
起点となる名古屋では東海道新幹線、在来線の東海道線、関西線、私鉄の名鉄線、近鉄名古屋線、地下鉄東山線、桜通線。
そしてリニア・鉄道館やレゴランドなどがある、金城ふ頭へと向かうあおなみ線と乗り換えが可能です。
名古屋は中央線の起点駅であり、主要駅であり、なおかつ中央線は現在名古屋から先の他路線へ直通する列車もないため、通過駅には設定できないでしょう。
次に金山です。
金山は東海道線との分岐駅であり、先述した名古屋よりも名鉄線と乗換がしやすく、さらに地下鉄の名城線・名港線とも乗り換えができます。
そして金山総合駅となった現在、JRと名鉄、地下鉄の乗降客数は合わせて10万人ほどいますので先述した通り停車駅としては妥当です。
そして鶴舞です。
鶴舞は先程も述べましたが、地下鉄鶴舞線と乗り換えが可能な駅です。
更に駅周辺には鶴舞公園や名古屋大学鶴舞キャンパスなどがあるため、当然利用客は多いです。
次に千種です。
千種では地下鉄東山線と乗換が可能な駅で、名古屋よりも東山線への乗り換えがしやすいです。
そして特急「しなの」号も止まります。
最後に大曽根です。
大曽根では地下鉄名城線と、名鉄瀬戸線、さらにゆとりーとラインにも乗換が可能です。
更に駅周辺にはバンテリンドームナゴヤこと、ナゴヤドームがあります。
ナゴヤドームではプロ野球球団「中日ドラゴンズ」の本拠地であり、中日ドラゴンズ主催の試合をはじめとした野球などのスポーツ試合のほか、
アーティストの音楽ライブの会場として使用されることがあるため、それらのイベントが開催されるときは混雑します。
もし通過駅にしてしまったら普通列車に乗客が集中してしまい、遅延の原因となる恐れがあります。
これらの地下鉄路線や私鉄路線への乗換需要があるため、都心部では通過運転が難しいのが分かったのではないかと思います。
末端区間の本数や都心部での利便性・利用頻度などを考慮すると、通過駅が少ないのにも納得いくかもしれませんね。
名古屋地区の中央線快速列車の歴史
- 1968年10月:朝ラッシュ時間帯に中津川発東海道線大垣行きの快速列車を設定、その後夕方ラッシュ時間帯にも追加、合計で3往復に
- 当初は金山、鶴舞も快速が通過していた
- 1973年7月:快速が増発され、1時間に1本の運行に
- 1987年3月:日中の快速が1時間に2本になる
- 1989年3月:金山駅を停車駅に追加(東海道線のホーム設置と名鉄金山橋駅の移転・改称を行い同時に金山総合駅化)
- 1990年3月:快速停車駅から勝川、春日井を外した通勤快速を運行開始
- 1991年3月:通勤快速増発
- 1997年10月:快速の停車駅に鶴舞を追加したうえで通勤快速を廃止し、朝~日中は快速を1時間に4本、夕方以降は1時間に3本運行するようになる
- 1999年12月:日中の名古屋~中津川間の快速列車のうちの1本が座席定員制列車「セントラルライナー」に置き換わる
- 2013年3月:名古屋~中津川間の快速に置き換えられセントラルライナー廃止、日中快速3本体制はそのまま
- 2022年3月:全列車が8両編成になる
- 2024年3月:315系に車両が統一されたことを受け最高速度が110km/hから130km/hへ向上。新守山と神領に停車する区間快速が新設され、日中時間帯を中心に快速の代わりに運転されるようになる
まとめ
ここまで解説したことを簡単にまとめます。
- 名古屋地区の中央線の概要
- 中央線の快速列車の停車駅が多い理由
- 名古屋地区の中央線快速列車の歴史
以上のことがわかったのではないかと思います。