東京から名古屋・新大阪など一大都市圏を結ぶ東海道新幹線。
今回はそんな東海道新幹線が一体なぜのぞみ号が静岡駅に停車しないのかについて紹介していきます。
いったいなぜでしょうか?
そもそものぞみ号は東海道新幹線開業時には存在しなかった
意外かもしれませんが、東海道新幹線が開業した当初は「のぞみ号」は存在しませんでした。
厳密にいえば、戦中に「のぞみ」「ひかり」「あかつき」が朝鮮半島で走っていたことがありますが、今回は関係ないので省略します。
東海道新幹線開業時は「のぞみ」はなく「ひかり」と「こだま」のみの運転でした。
当初最高速度220km/hで運転されていたことも理由の一つかもしれません。
開業当初は今とはダイヤが異なり、本数も今よりも少なかったほか、車両設備についても食堂車が連結されていました。
「のぞみ」は速達性向上で登場 京都・名古屋や新横浜も通過
転機となったのは1992年3月のダイヤ改正です。
このダイヤ改正で最高速度の引き上げをすべく300系新幹線が投入されました。
しかし、現在の運行体系とは全く違い、4往復しか設定がされていませんでした。
しかも、現在は京都・名古屋、新横浜は全列車停車となっていますが、当時は一部通過する列車もあり、名古屋は特に「名古屋飛ばし」として大きく話題となりました。
のぞみはなぜ静岡駅に停車しないのか?
そんな経緯があったのぞみ号ですが、なぜ静岡県に停車しないのでしょうか?
そもそも静岡県に停車させるだけのメリットがJR東海にはありません。また、所要時間の増加やダイヤ上の問題、静岡までしか乗らないお客が増えると収入が落ちてしまうこと、静岡駅自体の需要の低さも考えられるでしょう。
そもそも歴史的な背景からすると、元々ひかりしかなかった時代ですら、静岡県に停車する列車は少なく、現在でも静岡を通過するひかり号も存在します。
静岡まで乗らないお客が増えると収入減?
また、静岡駅まで乗車した場合の料金は自由席で5940円ですが、名古屋まで乗車した場合10560円となります。静岡県に停車することで、静岡までしか乗らないお客が増えることで、静岡から先指定席が空席になることも考えられます。
所要時間の増加の問題
実際に東京駅からのぞみ号に乗って静岡駅通過までの所要時間について計測してみました。乗車列車はのぞみ91号岡山行きの定期列車なので、他の列車との所要時間はほぼ同じだと思います。
のぞみ91号は東京駅を20時21分に発車する列車で、静岡駅を21時14分ごろに通過します。
東京~静岡の定期列車ひかりの所要時間は約1時間ですから、所要時間としては静岡以外の三島・熱海などを通過して静岡に停車させたとしても最大で5分近くの時間短縮効果しか見込めないことが挙げられます。
静岡の人にとってもそうですし、東海道新幹線利用者からしても所要時間が「ひかり」とあまり変わらないか、「のぞみ」の所要時間増加はメリットが薄いと考えられます。
ダイヤ上の問題・ダイヤ再編の必要がある?
静岡駅にのぞみを停車させるとなるとダイヤ再編が必要になるため、ダイヤ上の問題も発生してきます。のぞみ91号乗車時の話ですが、静岡駅では先に発車したひかり663号の追い越しを行います。
そのため、この列車が先に走っているので、そもそも静岡駅を利用する人は先発のひかりを利用する人が多いでしょう。
また、他にもこだま号が静岡駅などで退避する場合もあり、そうすると退避時間の調整が必要となり(例えば静岡駅以外での退避時間が長くなるなどバランスが崩れる)、結果として追い越しが難しくなり、全列車での所要時間増加が起きるかもしれません。
静岡駅の需要の低さ
静岡駅の利用客は決して低いわけではありませんが、東海道新幹線ののぞみ停車駅に比べると需要の低さがあります。
現在静岡駅に停車するこだま・ひかり号はのぞみ号と比較して自由席が多いのと、ひかり号では静岡以外に三島・熱海などに停車する便があるということです。
座席表はほぼ満席なのに静岡発車時はガラガラ?一体なぜ?
特に、静岡駅の需要の低さで印象的だったのは静岡駅を夕方に発車するひかり516号に乗った時でした。
この時、ネット予約をしたため、座席表は見ることができましたが、春休みということもあり、車内はほぼ満席でした。
しかしながら、実際に乗車してみると静岡駅発車後はそこまで混雑していませんでした。
「確かに座席表はほぼ満席になっているのにおかしい」と感じましたが、しばらくするとその答えが分かりました。
理由は熱海駅から東京へ帰る人が続々と乗り込んできてこれで座席がほぼ満席になりました。
静岡駅から乗車する人もそこそこいましたが、熱海駅から乗車する人も多かったということです。
ちなみに三島駅に停車する便もありますが、こちらは余りこんでいるイメージはありません。指定席であれば、比較的空席は多かったと思います。おそらく、この区間の自由席特急券が安いことも理由の一つでしょう。
東海道新幹線「のぞみ」が止まらない理由について
東海道新幹線のぞみが止まらない理由について、いくつか紹介しましたが、乗車率やダイヤなど客観的に考えれば停車させることができないことはお分かりいただけたのではないでしょうか?
別の角度から歴史的な背景など、詳しくこちらの動画で紹介していますので、良かったらそちらもご覧ください。