今回は埼玉県大宮駅から小江戸川越を通り高麗川駅へ至る「川越線」。そんな川越線がなぜ単線なのか?なぜ複線化しないのか解説しています。
まず運行区間、運行本数について見ていきましょう。
そもそも川越線とはどんな路線?運行区間・運行本数は?
川越線は交通の要所「大宮」から北上して川越まで行き、さらに高麗川まで路線が伸びています。
運転系統は2つに分かれており、
- 埼京線と直通運転をする区間(大宮~川越)
- ローカル輸送のみを行う区間(川越~高麗川)
となっています。多くの方が疑問に思っているのは大宮~川越までの区間ですので、今回はその区間について解説します。
運行本数は大宮~川越間で1時間に3~4本程度。つまり、20分~25分間隔で運転されていることが分かります。
種別は「各駅停車」「快速」「通勤快速」がありますが、快速運転を行うのは埼京線の区間で、川越線内は各駅に停車します。埼京線と直通運転をしているため、10両編成で運転されています。
次に川越線が単線なのはなぜなのか?理由について解説していきます。
川越線はなぜ単線がある?元々全線単線だった?!
なぜ、川越線には単線区間があるのでしょうか?ヒントは川越線の歴史にあります。
川越線は1940年7月22日に大宮~高麗川駅間まで開業します。しかしながら、大宮~高麗川までは全線単線区間となっていました。一体なぜ単線区間が多かったのでしょうか?それは沿線人口が少なかったため単線で建設されたためです。
始発駅の大宮の歴史を見ていくと、開業当初の1940年は大宮駅周辺は「大宮町」であることから規模が小さい町だったことが分かります。開業年1940年11月3日には大宮・日清・宮原一帯の村と町を合併し、「大宮市」が発足します。
つまり、大宮~川越まで単線だったのは沿線人口は増加傾向だが、複線化するほど沿線人口がいなかったということがうかがえます。
川越線が一部区間の複線化を決定したのは「埼京線との直通運転」でした。埼京線の車両基地が沿線の猛反対にあい、川越線南古谷駅周辺に作らざるを得ず、そのため川越線は埼京線と直通運転をした可能性があります。
埼京線との直通運転は1985年9月30日開始されます。この日、川越線が非電化から全線が電化され、大宮~日進駅までの区間が複線化されます。しかしながら、日進駅は大宮駅の一つ隣となっていて、「最低限の複線化」だったことが分かります。
今まで複線化されてきて来なかったのはなぜでしょうか?また、今後複線化は行われるのでしょうか?
結論:川越線複線化(全線・一部)はほぼない 可能性が低い理由は3つ
結論として、全線・一部を含めた川越線複線化はほぼないと言ってもいいでしょう。もしかすると自治体が建設費を負担するということがあれば話は変わるかもしれませんが、JR東日本ではそのようなことはやらないでしょう。
その理由について見ていきましょう。
運行本数が少なく単線でも対応できるため
理由の一つとして挙げられるのは、運行本数が少ないことです。単線化されていることの裏返しでもありますが、一般的に単線区間での運行は1時間あたり6本程度の運転が可能です。
つまり、10分間隔ならギリギリ走らせることが出来るということになります。
運行本数が少ない路線でも複線化されている路線はありますが、かつては大幹線だったか、貨物列車も走行していることが挙げられます。
しかしながら、川越線は東北本線や東海道本線といった大幹線でもないため、現状の1時間あたり4本という本数でも十分ということが言えます。
用地買収・トンネル建設費用の問題
川越線が川越駅にアプローチする際には、東武東上線の下をくぐって川越駅に入線します。つまり、川越駅まで複線化するためにはトンネルを掘る必要があります。
このほか、川越駅付近の家も一部用地買収が必要となるためその費用も必要となります。
沿線人口の成長が止まり今後減少していくため
これは川越線沿線にとどまらない話ですが、2015年~2017年の沿線人口の目安になる「平均通過人員」によると、2015年から2017年にかけて横ばい傾向ほとんど変わらないという現状があります。
また将来的には「少子高齢化」で沿線人口はこれから減少が始まります。つまり、複線化したとしても人口が減少し、複線化による「本数増」「所要時間の短縮」のメリットより、建設費用のデメリットが大きくなるためということも挙げられます。
まとめ
川越線になぜ単線があるのか、複線化についてまとめると
- 元々川越線は全線が単線だった
- 開業後急速に沿線人口が増加した
- 今後も複線化の可能性は低い