今回は新快速が時速140kmでの運転がされるのかどうかについて解説していきたいと思います。
新快速とは?JR京都線・神戸線を走行する別名チート快速
そもそも新快速とは何でしょうか?
JR西日本が運転する新快速は主にJR京都線とJR神戸線で運転されており、京阪神地区の都市圏を結んでいる快速列車です。
現在最高時速130km/hでの運転が行われており、かつて私鉄王国だった関西圏の鉄道は、新快速の運転の成果もあって現在は多くの利用客が新快速を使うようになりました。
並行する私鉄と比較して所要時間を5分から10分程度短縮していることから、一部鉄道ファンからは「チート快速」と呼ばれる異名を持った列車となっています。
新快速140km/h運転の構想とは?
現在、新快速電車は140km/hでの運転は行われておらず、最高速度は130km/hで運転されています。
しかし、2005年4月に発生したJR宝塚線(福知山線)での脱線事故によって、それまでのJR西日本のスピード重視体質が問題になり、事実上計画が不可能となってしまいました。
この事故後、各線で若干ですが所要時間が増えるなどスピード体質の見直しも行われてきました。
しかし、構想自体はあり、実際に試運転が行われてきた実績はあります。
新快速140km/h運転の問題点
新快速の140km/h運転を行うにはいくつかの問題点がありますので、それについて紹介していきたいと思います。
ブレーキに関する600m条項
一つは、いわゆる600m条項です。
踏切などがある在来線では障害物を目視可能な600m手前から非常ブレーキでトップスピードから停車できなければいけないという規則がありました。
この600m条項の規則は2002年に廃止となっていますが、新快速の140km/h運転が構想されていた2005年4月以前には、この規制が大きく問題として立ちはだかっていたと思われます。
また現在も600m以下にしなければならないという基準は残っているため、完全になくなったわけではありません。
かつて青函トンネルで運転されていた特急「はつかり」「白鳥」「スーパー白鳥」は140km/h運転が行われていましたが、これは踏切などがない特殊な条件下だったことから実現したといえます。
また、同様に北陸新幹線金沢開業以前は北越急行ほくほく線で、特急「はくたか」が160km/hでの運転を行っていたこともあります。
地上設備投資などの問題
新快速が130km/h運転までであれば、これまでの地上設備や信号設備が使えますが、140km/h運転になると踏切の検知位置、信号設備の改修が必要となってきます。
特に信号は130km/h以上になるとそれ以上の速度で運転することを許可する「高速進行」現示が必要となってきます。
これらの設備投資をして、それ以上にメリットがあったかというと微妙なところだと思います。
湖西線なら現状でも実現可能?
湖西線は基本的に高架区間であり踏切がない区間となっているため、現実的に140km/h運転をしようと思えば可能でしょう。
過去に221系と223系を用いて実施された高速走行試運転が実施されたのもこの湖西線です。
とはいえ湖西線内は利用客も少なく、新快速の運転本数も少ないため、高速運転のメリットはあまりないでしょう。
あくまで走行には適していたというだけの話でしょう。
結論:新快速の140km/h運転は実現不可能
ここまでの内容で説明してきた通り、新快速の140km/hでの運転は時代背景や設備投資などの問題もあり、実現は不可能でしょう。
しかしながら、過去にはJR西日本が新快速140km/hをしようとしていたということについてはお分かりいただけたのではないでしょうか?
新快速に乗ってみた時は、より速い140km/hが構想されていたことを思い出してみてはいかがでしょうか?