大阪メトロ(Osaka Metro)御堂筋線を普段利用していて「ムカつく行き先」の代表例として中津行きを今回は取り上げたいと思います。
動画で見たいという方は下記のリンクから見ることが出来ます。(一部素材など内容が異なります。予めご了承ください。)
大阪メトロ御堂筋線とは?
ここで、御堂筋線の中津行きは知っていても、御堂筋線について詳しく知らないという人に向けて改めて説明したいと思います。
御堂筋線は大阪府吹田市の江坂駅を起点として、新大阪・梅田・淀屋橋・心斎橋・なんば・動物園前・天王寺を経由して、堺市北区のなかもず駅までを結ぶ路線です。
全長は24.5kmであり大阪の中心部を貫く大動脈として、東京でいう山手線の役割を担っている路線となります。
さらに中心部だけでなく江坂駅を介して直通運転を実施している、北大阪急行も含めて都心郊外にあるベッドタウン地域と、大阪都心部の中心街を結ぶ役割もあります。
現在は大阪市郊外や豊中市・吹田市・堺市などの郊外と、大阪都心部を直接結ぶ路線となっていますが、北急は2024年3月23日に千里中央から先、箕面市の箕面萱野まで延伸することになっており、今後は箕面市と大阪都心部も結ぶことになります。
利用者も2017年時点で117万8000人ほどとなっており、東京の地下鉄では多く見られる10両編成の電車が、大阪で常態的に見られる唯一の地下鉄でもあります。
もちろん御堂筋線の混雑も激しく、さらに電車も最短2分15秒間隔での運転となっており、日中でも最短4分に1本電車が来る高頻度運転がされています。
中津駅の位置関係は?
御堂筋線にある途中駅の一つである中津駅は、大阪府大阪市北区中津にある駅となっています。
利便性は非常に高い駅となっていますが、どちらかというと旅行客から見れば周辺に観光地はないため、地味な駅と言えるでしょう。
なお阪急電車にも梅田から1駅先に中津駅がありますが、阪急中津駅はJRおおさか東線を挟んで西側に進んだ、300メートルほど離れた場所に位置しています。
江坂方向に2つ進んだ先に新幹線が乗り入れる新大阪駅、なかもず方向に1駅進んだ先にJR大阪駅、阪急・阪神も近くに乗り入れる梅田駅の間に挟まれています。
中津駅の位置関係が、新大阪方面に2つ手前になっていることから、ムカつく行き先として中津行きが選ばれるきっかけとなっています。
「中津行き」は中川家のネタでも有名
中津行きはテレビ番組でもお笑いコンビ中川家がネタとしてやっており、
「うわー、中津行きかー」
「新大阪間に合わへん」
「大阪市交通局(当時)に言うておくけど中津行き廃止」
「要らんところ止まらんでええ」
などと、ネタの中でも中津行きなんて廃止してしまえ、新大阪行かない列車が来たらがっかりしてしまう、余計なところに終点を設けるなというメッセージも盛り込まれているネタになっています。(もちろん、鉄道愛があってこそのイジリだとは思いますが)
利用者からすると「中津行きは要らない」と見られてしまいがちですが、なぜ必要なのでしょうか?
実は重要「中津行き」 設定されている理由とは?
利用者から不便との声が多いのであれば、「中津行き廃止しろ」だとか意見があり、ダイヤ上必要無くなれば減便ということもあり得るでしょうが、今のところ大きな変化は見られません。
つまり、ある程度中津行きが設定されている理由には必要性があるということになります。
また、予備知識として御堂筋線では短区間である小運転(新大阪または中津~天王寺間、一部あびこ、新金岡まで)と大運転(主に箕面萱野・千里中央~なかもず間)に分かれています。日中8分間隔で1本ずつ交互に運転されていて、帰宅ラッシュでは5分間隔1本ずつ交互に運転されるようになっています。
中津行きが必要とされている理由としては次の理由があります。
最混雑区間の本数を増やすために必要
実はこの中津行き、混雑を緩和するためには必要となっています。
大阪メトロ御堂筋線の最混雑区間は梅田~心斎橋間で運転される電車となっており、新型コロナウイルス前は140%~150%ほどとなっていて、大阪の鉄道としては断トツトップで混雑していました。
また、御堂筋線において乗車人員が多くなっている区間は梅田~心斎橋間となっていて、1日の乗降人員の2022年データによると、一番多い梅田で37万6922人、次になんばで29万8803人、天王寺で23万0570人となっています。
その他、心斎橋・本町・淀屋橋等オフィス街のある駅でも、10万人を超えています。
それ以外でも新大阪駅は新幹線との乗換駅となっているため、12万5819人などとなっています。
特に中津行きは梅田駅での天王寺方面への列車の混雑緩和に大いに役に立っているものと思われます。
先ほど説明した大運転のみだとJR線や阪急・阪神線からの御堂筋線梅田駅の天王寺方面行きの電車は混雑していて積み残しが発生すると思われます。
しかしながら、中津行き電車が設定されていることで、中津始発のガラガラの電車が梅田駅の積み残しを受け持つ役割を持っており、混雑緩和に寄与しているものと思われます。
また、歴史的経緯でも中津行きが設定されている理由となっています。
中津行きが設定されている歴史的経緯
大阪初の地下鉄である御堂筋線は、1933年5月20日に梅田~心斎橋間で開業しました。
その2年後に御堂筋線はなんばまで延伸し、1938年には天王寺まで延伸・開業しました。そして戦後の1951年には天王寺から昭和町まで延伸が行われ、1964年9月24日には東海道新幹線の開業に先立って、梅田〜新大阪間の延伸が行われました。
元々北側の終着駅だった梅田から新大阪に延長したことで、この中津に折り返し用の線路が設置されたことを受けて、中津行きの電車がここから走り始めたのです。
利用者が多い梅田ではなく中津に折り返し線が設置された理由は、ある路線の建設経緯が大きく関わっています。
そのある路線とは、近くを走っている谷町線です。
谷町線も関係 当初は梅田駅に乗り入れる計画だった
現在谷町線は梅田駅の近くにある東梅田駅へ乗り入れていますが、当初の建設計画では東梅田駅には乗り入れず、御堂筋線の梅田駅に乗り入れる予定でした。
そして御堂筋線と谷町線は同一ホームとされ、最小限の移動時間で乗り換えられるようにする予定だったのです。
その計画に沿って梅田駅構内には谷町線用のトンネルが掘られたものの、落盤事故が発生してしまい工事が難航してしまったことが理由で、最終的に谷町線のルートが変更され、現行の東梅田駅を通過するルートに変更されており、その計画で現在の谷町線が開業しました。
なお谷町線のために作られた梅田駅のホームですが、その後御堂筋線梅田駅の拡幅に転用されています。
しかし梅田駅は先行して将来御堂筋線本線に転用する前提で、江坂寄りに330mほど引き上げ線として延長しており、これが邪魔になったことが理由なのか梅田に折り返し線が作れず、ここは当初の計画通り中津駅に折り返し線を作ったのです。
このような事情で梅田駅始発・終着とする列車を作ることが出来ず、中津行きの列車が設定された理由となっています。
まとめ
中津行きが設定されている理由やネタにされている理由について解説してきましたが、まとめると
・中津行きは関西でムカつく行き先とされている
・中川家のお笑いネタとしても使われている
・新大阪駅に行く乗客からするとがっかりする列車でもある
・中津行きが設定されているのは梅田駅から乗車する乗客の混雑緩和
・最混雑区間梅田~心斎橋間の混雑緩和にも寄与している
・中津始発になったのは建設経緯で梅田折り返し・始発が作れなかったから
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